お知らせ

文楽と現代彫刻

みなさんこんにちは、井上桂です。

 先日、新旧の芸術(芸能)を観賞する機会がありました。
そこで感じたことをお話したいと思います。

―文楽―
ご存知の方も多いと思いますが、人形浄瑠璃として三味線と義太夫節、そして人形が一つになって演じる伝統芸能です。
たかが人形を使っての芝居とお思いになるかもしれませんが、男女のそして役柄に合わせた微妙な動き
そして心情までを義太夫に合わせて表現しており、生身の人間以上に訴えるものがあります。

私が文楽に興味を持ったきっかけは、三味線奏者の鶴澤清友さんを知ることができたことからです。

清友さんは、厚木ご出身です。
厚木は、昔から芸事が盛んな土地柄であり、ご自身も幼いころから三味線に親しんでいました。
そして更なる飛躍の為、文楽の本場である大阪に移られて精進を重ねられ、今日、東京・大阪の国立劇場に出演する程の地位を築き上げました。

―現代彫刻―
表参道のギャラリーで行われた「辻忍彫刻個展」に行って来ました。
彼は、箱根の彫刻の森や六本木の新国立美術館に作品を展示されたりと創作意欲と才能にあふれた作家です。
知り合った20代の頃から50代の現在に至るまでの彼の作品の変遷や物の捉え方・考え方を感じ取ることが楽しみです。

この二つの芸術(芸能)は何の関わりもないように思われますが、二人には共通点があると思います。
それは、「何より好きなことがある。そしてコツコツと努力する。」ことです。
そこには、打算もなければ、しがらみもありません。
ただ、ただ好きだから続けてきたということだけです。

清友さんは、何の後ろ盾もない地に行き、花も咲くかもわからぬまま50年。
忍さんも、絵画とは違い個人宅では置く場所もないような大きな彫刻が多い作家。
ご本人曰く、せっかく作っても引き取り手のない作品は潰すとのこと(この方が多い)。

現代は、好きかどうかの前に、「金になるか」、「食べていけるか」が優先しているようですが、これも生きて行く上では、不可避のことです。
しかし、このような世の中で、好きなことをコツコツ続けることができる二人をうらやましく、そして応援したいと思うこの頃です。

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